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2007年、発表会を終えて

26日の発表会で私の熱い夏はやっと終わりました。
今朝5時半には友理を見送りました。
イタリアに行くたび、夫はさびしいのか『日本にもうずっといたらいいのに。』と
言っています。私も同感。長女も静かになります。
それを『いやだよー』の一言で押し切って出かけていきます。
次回の帰国が未定なのも、より寂しいですね。

今年初めて夏バテを経験し、食欲不振に不眠、めまいなどに
悩まされました。いつもは夏太りするのに今年は太りませんでした。
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昨日の発表会は生徒さんたち本当に一生懸命弾いてくれました。
なんせ一年に一回のことですから気合を入れてもらわないといけません。
みんなそれぞれによかったです!!
人の話によると最近のピアノの発表会はいろいろ趣向を凝らして
ショーのように照明を変えたり何回も出番を持ったり、ハンドベルを鳴らしたり、
全員合唱したりとピアノ演奏以外にも楽しそうですね。

でも私はずっと第一回目からクラシックで形式を変えていません。
ときどき連弾は楽しいし勉強になるので入れますが
基本的にはソロの一発勝負をさせます。
そのための痛い積み重ねは子供達はよーく知ってますよね。(^_-)-☆
大体発表会で子供一人が弾く曲の長さは学年にもよりますが
3分、5分、7分、くらいです。
小さい子は3分が集中できる最大分数。
7分になるとかなりうまく弾かないと聴衆は飽きます。
そのあたりのことも考えて選曲します。
ときどき1分でも長く弾きたいと思われる方もいるそうですが邪道です。
本番とは演奏時間の長さの問題でなく
極度に緊張した中で自己ベストを出すものなんですから。


毎夜、きのうもまた世界陸上を観ました。
いつも思うのですが100メートル走10秒のためにどれだけの練習をしているのだろうか。
1日8時間練習して1年でほぼ3000時間、5年で1万5000時間。10年で3万時間。。
そして本番は、「一瞬、」
気が遠くなります。
「眠っている感覚を見つけ出すトレーニング」をするのだそうです。

それらの競技の『華やかな緊張の本番』と『普段の地道な練習』との差は
我々には想像するしかなく見ることはできません。
日本人は体力的に不利なので練習しても報われる可能性の低い競技なのに
それでも人生かける。その価値があるからこそなのでしょう。
スピードスケート、競泳、ハンマー投げなど
ほんとにたった一瞬、10秒、1分のために一度きりの人生かけている人を尊敬します。
それに比べるとピアノは一瞬といっても数分は弾けるので楽だな、と思います。
でも芸術も奥が深いのでそれはそれで大変。

ピアノ本番を私も小さい時から経験していたので実は勉強の試験は本当に楽ちんでした。
テスト時間は5,60分たっぷりあるのでそれだけで緊張しないし
なんたって消しゴムという最大の武器を持っているのですから。
ピアノは音を出すと全てが始まり全てが終わります。

この一発勝負は普段の学校生活だけでは得られない貴重な経験です。
あの広いステージでたった一人、3分間、5分間
多くの人の目と耳と気持ちがステージの一点に注がれていると思うと
本当に刺さるかと思うほどの恐怖と喜び、しあわせを感じます。
この気持ちは弾いた当人にしかわかりません。
凝縮された極度の緊張、清水の舞台から飛び降りる気分を
一年に一回の発表会で感じてください。
一回失敗したら、何時間後に『もう一度』は、ありません。
また来年を待つしかない。。
でも来年があるのはまだいい。
人生は一度きりですからね。
by studioacanthus | 2007-08-28 11:48 | 音楽
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