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かけがえのない人との出会い 5 『お弁当の時間』

○○先生のお昼のお弁当は私の担任だった2年間ずっと全く同じでした。

マーガリンをぬった食パン2枚と学校で注文する牛乳のみでした。
ハム一枚入っていない。
大げさでもウソでもありません。
本当に2年間ずっとパンと牛乳だけでした。
気のつく女子の間では怪しがられていました。
あんな食事で大丈夫なんだろうか。
朝と夜で補っているのだろうか。
母にも言いました。
『あんな食パンと牛乳だけで生きていけるの?
奥さん何してるんだろ?家出していたりしてね。』
私もなぜ奥さんが先生にお弁当を作ってあげないのか不思議でしたが
先生にそのわけをお訊きすることはできずにt中学を卒業しました。

先生のお宅に遊びに行って、息子さんを見て、初めてわかりました。
奥様は息子さんのお世話に大変なので
御自分でマーガリンをぬって食パンを持って来られていたということだったのです。

さて、その食パンを持って先生は
『今日はどこの班へ行こうかな。』と言われ
毎日違う班で生徒たちと雑談しながら食べておられました。

ある日、私達の班に来られた時、
『高橋さんは夜何時に寝ているのかね?』
『12時過ぎくらいかなぁ。ピアノを10時まで弾いてその後お風呂と宿題
しているとすぐ12時になってしまうので。』
『それはいけない。寝るのが遅すぎる。何があっても12時前には寝なさい。
宿題できていなくても寝なさい。あなたは勉強しすぎていますよ。』
『はああ??』
『勉強はね、20歳過ぎてからすればいいんだよ。』
わたしはそのとき、
本当の勉強は20歳過ぎてからするものだということを知りました。
つづく
by studioacanthus | 2007-02-21 11:15 | 教育
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